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2018年9月7日

法人成りのとき、個人事業の在庫はどうすればいい?

小売業などが、法人成りするとき気になるのが、在庫や棚卸資産の引き継ぎです。 小売業の場合、売り物が無ければ当然のことながら、商売はできません。 在庫や棚卸資産の引き継ぎはどうなるのか? それ以外の資産の引き継ぎは? ここでは、在庫を中心とした資産の引き継ぎについて解説します。

個人から法人への在庫の引き継ぎ方法

1.売却

個人から法人へ在庫を引き継ぐ最もスタンダードな方法が売却です。 以下の大きい方の金額で法人に売却しましょう。
  • 仕入れ値
  • 通常の販売価額の7割相当
これより安い価額で売却すると受贈益が発生し、原則、法人税がかかります。また贈与者である個人に対しても、みなし譲渡所得課税がかかるので注意が必要です。 この点にさえ気をつければ、売却の際生じる所得税はほとんどかかりません。ただし、消費税は発生するので気をつけてください。

2.現物出資

在庫や棚卸商品を現物出資することで引き継ぐことも可能です。 現物出資とは、金銭では無く物で出資すること。 車両やパソコンなどのOA機器、不動産(土地・建物)、有価証券などとともに在庫や棚卸商品を出資することもできます。 現物出資するには、定款に「現物出資をする者の名前(発起人に限る)」「現物出資する財産とその価額」「現物出資に対して割り当てる発行株式数」を明記する必要があります。 ただし現物出資をするには、裁判所に出資財産の価額が適正かを判断する検査役の専任を申し立てなくてはなりません。この検査役専任を回避するには、「出資財産の価額が500万円以下である」「500万円以上の場合は、税理士・弁護士・公認会計士に正当な価額であるという証明を受ける」必要があります。 現物出資も売買と見なされるため、譲渡所得税や消費税がかかります。節税のためにも、まとまった金額を出資する場合、専門家に相談することをおすすめします。

3.在庫の見直しをする

引き継ぎ方法とは違いますが、せっかくの機会なので、改めて在庫の内容を見直しましょう。 一口で在庫と言っても以下のように分類できると思います。
  1. 通常の販売価格で売却できる在庫
  2. 値下げしないと売れない物
  3. 仕入れ値より安くしないと売れない物
  4. ただ同然で無いと売れない物、どう頑張っても売れそうにない物
(3)と(4)が不良在庫なのは明白です。 こういった在庫は、法人に引き継がずに個人事業のときに売り切ってしまうことをおすすめします。処分損失は個人事業の経費にすることが可能です。 可能であれば、個人事業時代に極力在庫は売り切ってしまった方がいいです。 在庫を売り切るまで、個人と法人を同時に並行して行うのは、税務署に目を付けられるのでやめたほうがいいですが、消費税負担を軽くするためにも、在庫の引き継ぎができるだけ無い状態で法人でのスタートを切れると最良です。

在庫以外の引き継ぎについて

1.減価償却資産

減価償却資産の時価については、資産の種類や用途、形式などから、固定資産税評価額、販売業者の見積販売価額、似たような物件の売買価額などを参考に決定します。 時価の算定が困難な資産については、法人税基本通達の規定に則って、資産の旧定率法未償却残額をもって時価とすることも可能です。

2.債権

個人事業主時代の売掛金、受取手形、貸付金などは法人が必ずしも引き継ぐ必要はありません。 これらの債権の引き継ぎ価額は、債権金額によりますが、確実に回収できる金額を引き継ぐ必要があります。貸し倒れの危険性が高い債権を引き継いだ場合、法人から利益享受していると捉えられる可能性があるので注意してください。

3.土地・建物

現物出資、売却のいずれの方法においても譲渡所得税が課税されます。

在庫の引き継ぎをしたときの確定申告処理について

在庫の引き継ぎをしたとき、以下の確定申告が必要です。間違えないよう気をつけましょう。

○個人事業主の確定申告

通常の売り上げに、商品を法人へ引き継いだときに発生した売り上げを加算する必要があります。また貸倒引当金があるときは全額戻し入れしましょう。 また期末商品の棚卸し高は0にします。 在庫以外の固定資産も法人に売却します。売却価格は法人成りした前日の帳簿価額です。

○法人の確定申告

在庫などの商品は仕入れたことになりますので、個人事業主の売上金額と同じ金額を仕入れ計上します。在庫以外の固定資産も同様です。金額は法人成りの前日の帳簿価額になります。

在庫引き継ぎの方法は売却または現物出資! 課税されるので在庫は極力無いのがベスト

以上、個人事業時代の在庫の引き継ぎ方法でした。 法人成りしたときに、どのように在庫や棚卸資産を引き継ぐか分かりましたか? 一口に、在庫や棚卸資産と言っても内容は様々。 これを機会に、不良在庫は無いか、販売価額はどうかなどチェックしていきましょう。 内容が複雑な場合は、節税のためにも、専門家に相談するのも一つの手。 最高のスタートを切るためにも、改めて在庫の内容を見直していきましょう。
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